先進医療:子宮頸がんに対する腹腔鏡下広汎子宮全摘術

先進医療とは

先進医療は、平成16年12月の厚生労働大臣と内閣府特命担当大臣等との「基本的合意」に基づき、国民の安全性を確保し患者負担の増大を防止するといった観点も踏まえつつ、国民の選択肢を拡げ利便性を向上するという観点から、保険診療との併用を認めることとされているものです。つまり厚生労働大臣が承認した先進性の高い医療技術のことを指します。慶應義塾大学病院におきまして、上記術式につき『先進医療』としての届け出が厚生労働省(関東信越厚生局)により受理されました。(平成29年5月1日)。

先進医療についての詳細は下記をご参照ください(厚生労働省のページ)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sensiniryo/

先進性

現在日本では開腹手術によって行われている子宮頸がんに対する広汎子宮全摘術(子宮全摘、骨盤内リンパ節切除)は、欧米、韓国、台湾では積極的に低侵襲手術である腹腔鏡にて行われております。ところが日本では、子宮頸がんに対する腹腔鏡下に行う広汎子宮全摘術は保険収載されておらず、先進医療として一部の施設のみで施行されているのが現状です。適応を満たした症例に対して腹腔鏡下広汎子宮全摘術を施行することにより、患者さんにより低侵襲な手術を提供できることが予想されます。

概要

現在子宮頸がんに対して一般的に行われている手術療法は、開腹による子宮全摘、骨盤内リンパ節切除であり、臍横から約20cmの皮膚切開を必要とします。本術式は、これを5〜12mmの数カ所の小切開による腹腔鏡下に手術を行う方法です。

この腹腔鏡下広汎子宮全摘術は、開腹による方法と比較して手術内容は開腹手術と同様ですが、手術による侵襲を低減することで術後疼痛の軽減、入院期間の短縮、早期の社会復帰が可能になると考えます。また腹腔鏡を用いることにより、骨盤内の深い部分の観察も直視下に行うことが可能であり、出血量の軽減も期待できます。

しかしながら腹腔鏡手術は、開腹手術よりも時間がかかることが予想されます。また、開腹手術では予想できないような有害事象(血管損傷、他臓器損傷など)が稀に生じることがあります。腹腔鏡手術が困難と判断した場合や不測の事態が予想される場合は、直ちに開腹に移行し、通常の開腹広汎子宮全摘出術に切り替えることで安全性の担保を図ります。

効果

手術侵襲の軽減、術後疼痛の軽減、術中出血の減少、入院期間の短縮、早期社会復帰等が見られ、患者さんのQOLの向上にも効果があると考えます。