研究

海外留学

小野政徳(平成12年卒)

Division of Reproductive Biology Research, Department of Obstetrics and Gynecology, Feinberg School of Medicine at Northwestern University, Chicago

私は2010年12月よりシカゴのノースウェスタン大学で研修をさせて頂いております。シカゴは何故か日本人にはちょっと馴染みの薄い街ですが、ニューヨークやロスに次いでアメリカ第3の大都市です。そんなシカゴは五大湖の一つであるミシガン湖に沿ってひらけた美しい街です。シカゴの人々は概して陽気で親切です(これはありがたい!)。こちらには家族4人(妻と子供2人)で渡りました。米国に渡ってさてすぐにボスと研究のテーマについてディスカッションという訳にはいかず、ドラマ「ER緊急救命室」さながらの吹雪の中、気の遠くなるような生活のセットアップが待っていました。今でこそ、この経験を一度したためにもっとスムーズにセットアップが出来ると思いますが、シカゴに来た当初、それはもう大変でした。

留学先としてこちらを選んだのは、ノースウェスタン大学産婦人科学教室のブルン教授の主宰するラボで行われている生殖内分泌学に対する研究に興味を持っており、こちらで研究生活を送ってみたいという思いがあったからです。ブルン教授は子宮内膜症、子宮筋腫それからアロマターゼ、エストロゲン、プロゲステロンをはじめとした研究により、これまでに非常に多くの論文を残されています。子宮内膜症や子宮筋腫といった臨床検体を用いて行われる研究方法は大変魅力的であり、将来も応用できると考えました。また研究施設はPrentice Women’s Hospitalという産婦人科専門の病院(実際見てみるとその規模に圧倒されます!)と隣接して存在しており、臨床に関連したカンファレンスなどにも出席することが可能となっています。手術患者さんは朝6時に当日入院し、麻酔等の説明は朝早くに行われます。米国ならではのメリットとして、様々な分野のTop researcherが同じ施設内にいて、アドバイスを気軽にもらえます。また共同研究やサンプルの供与が頻繁に行われ、貴重な薬剤・ウイルス・プラスミド等も電話・メール一本で快く供与してもらえることがあります。また毎日のようにポスター展示や講演があり、学内で毎日学会が行われているような感覚になります。希望すればこれらにいつでも参加できます。

慶應産婦人科では国際学会への参加が積極的にサポートされている事もあり、ここで世界の様々な医師・研究者達と知り合いになることが出来ました。また研究室の先輩や同僚が海外留学をしておられたことで私も海外留学をしてみようと考えました。今後も慶應産婦人科はグローバルに開かれた教室であり続けるでしょう。また自分が希望した研究室で自分が望む研究を存分にやらせてもらえて、とても有難いことです。日本を離れて海外に暮らしていると、自分の日本人としてのアイデンティティー(まじめ・勤勉がウリ!)が周囲とのコントラストでより鮮明になった気がします。海外留学のお力添えをいただき、貴重な機会を与えて頂いた教室の吉村泰典教授、青木大輔教授、丸山哲夫講師に深謝いたします。また、暖かく見送ってくれた教室の皆様、国立病院機構埼玉病院の皆様、お世話になった方々に御礼申し上げます。

2012年2月

Back to top