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2020(令和2)年

木須伊織君(83期)が日本産科婦人科学会学術奨励賞を受賞

木須伊織君(83期)が令和2年6月20日に開催された日本産科婦人科学会定時総会にて木須伊織君が学術奨励賞を受賞し表彰された。
学術奨励賞は日本産科婦人科学会会員の中で最も卓越した研究業績をあげた若手会員に対して授けられる名誉ある賞であり、選考にあたっては、研究の質の高さ、オリジナリティ、内容のインパクト、研究の一貫性、国内で行われた研究、学会への貢献度、など多面的観点から評価され、この度、生殖医学部門より木須君が選出された。本来であれば当教室主催の第72回日本産科婦人科学会学術講演会会期中の臨時総会で表彰式が行われる予定であったが、コロナ感染拡大の情勢を鑑み、Web開催(令和2年5月23日~28日)となり、改めて定時総会で表彰された。
受賞研究テーマは、「非ヒト霊長類動物における子宮移植技術の開発~子宮性不妊症に対する新たな生殖医療技術の臨床応用に向けて~」である。木須君は霊長類であるカニクイザルを用いて10年以上子宮移植の基礎実験を行っているが、これまでに非ヒト霊長類動物における安定した子宮同種移植モデルは存在しなかった。木須君は3キロの大変体格の小さいカニクイザルにもかかわらず、繊細な手術技術かつ緻密な術後管理により、安定した子宮同種移植モデルを作製し、さらには世界で初めて非ヒト霊長類動物における子宮自家ならびに同種移植後の出産に成功するという偉業を果たし、これらの業績が評価され今回の受賞に至った。
近年の生殖補助医療の進歩により、不妊夫婦が生児を得る機会が増えてきたといえるが、子宮や腟を先天的に欠損する女性や最近急増している若年性子宮悪性腫瘍などで子宮摘出を余議なくされる女性は多く存在し、代理懐胎が認められていない本邦においてはこれらの子宮性不妊女性の挙児は不可能である。木須君はその解決策として「子宮移植」という新たな生殖補助医療技術及び移植医療技術を2009年に発案し、子宮移植の臨床応用を目指してこれまで基礎研究を継続的に進めてきた。
子宮移植の臨床応用には倫理的・社会的課題に対する慎重な配慮が求められ、現在、日本医学会の検討委員会にてその議論が進められている。慶應義塾大学病院においても、既に様々な診療科および職種による横断的な子宮移植ワーキンググループが設立され、国内初の臨床応用の準備がすすめられている。
木須君の研究により、我が国での子宮移植の臨床応用が目下に迫り、子宮性不妊女性に大きな福音をもたらすだけでなく、日本の生殖医療ならびに臓器移植医療における新たな医療技術を生み出し、日本の学術研究の発展に寄与することが多いに期待され、今後も木須君の我が国における子宮移植の臨床応用へ向けた取り組みに注目したい。

木須伊織君(83期)が日本産科婦人科学会学術奨励賞を受賞
(71期 阪埜浩司 記)




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