婦人科腫瘍研究室 感染制御部門

代表:
田中 京子 講師(Kyoko Tanaka, M.D. Ph.D.)
岩田 卓 講師(Takashi Iwata, M.D. Ph.D.)
部門:
感染制御部門

1.子宮頸部発癌機構の解析とその結果の臨床応用

子宮頸癌ではヒトパピローマウイルス(HPV)の感染が高頻度に認められ、発癌機構において重要な働きをしていることが明らかとなっています。HPVはほとんどが一過性の感染で、病変をつくることはありませんが、持続感染すると発癌リスクが高まると考えられています。持続感染を起こしている病変のHPVのエピジェネティクな変化を解析することで、その機構の解明に迫ります。この研究はあらたな診断技術の開発へと繋がる研究です。また、HPVが感染すると宿主側の反応として細胞周期調節タンパクの過剰発現も見られます。このタンパクの発現異常を指標とした新たな補助診断法の確立を目指した研究を行っています。一方、In vitro解析の結果からHPVのE6,E7タンパク質が発癌に関与することが証明されています。そこで、これらのタンパク質の機能阻害を目的とした研究を行っています。この研究は新しい分子標的治療薬の開発へと繋がる研究です。さらに、HPV感染だけでは発癌しないことも知られていることから、発癌に関与する他の因子、例えば喫煙やそのほかの微生物感染などの環境因子が癌化に及ぼす影響についてもin vitro実験および疫学的な手法を用いて解析しています。これらの結果をもとに臨床に役立つ新しい診断技術、癌発生予防方法についてあらたな知見を見出したいと考えています。

所属メンバー(平成29年3月現在)
所属メンバー(平成29年3月現在)

2.婦人科腫瘍の免疫応答の解明

多くの癌で、自己の免疫細胞が癌を攻撃していることが明らかとなっています。我々は、将来、婦人科領域でのがん免疫療法への応用を目指して、慶應義塾大学医学部先端医学研究所細胞情報部門(河上裕教授)と共同研究により、腫瘍免疫の研究を行っています。テーマとして (1) 養子免疫療法や樹状細胞療法を目指した腫瘍特異抗原の同定、(2) 腫瘍の局所環境を解析するための各種サイトカインの検出と測定、(3) PD-L1やB7-DCといった免疫抑制機構の解明、などです。近年、癌は患者の体内で免疫から逃れていること、その逃避機構を解明して解除すれば、飛躍的に免疫療法の効果が向上することが分かってきました。新たな癌の免疫療法の開発と臨床応用にむけて研究を行っています。

3.子宮頸がん検診における新しい検診手法の検討

現在行われている子宮頸がんの二次予防としての細胞診による検診は、浸潤がん罹患率減少効果が科学的に証明された有効な検診です。しかしながら昨今の子宮頸がんの罹患率の上昇もあり、さらなる検診効果の向上を目論んで、ハイリスクHPV検査の子宮頸がん検診における検診手法としての有効性についての検討が内外でなされています。自治体による地域住民検診を研究フィールドとした前向きコホート試験やランダム化比較試験によってこの課題に取り組んでいます。

4.子宮頸癌手術の治療成績向上を目指したトレーニングシステム開発と臨床研究

最近では婦人科疾患においても鏡視下手術が普及してきましたが、安全に施行するためにはかなりの修練が必要です。また、手術においては、出血量減少や神経損傷予防のためには、血管や神経の走行を含めた臨床解剖を熟知しておく必要があります。我々は、従来の紙媒体の教科書では理解が難しい、血管と神経の相互の位置関係がよく観察できる臨床解剖学習ツールを開発しています。

Medical KOS
女性骨盤レイヤー解剖
【参照:Medical KOS
【References】
英文業績